平成29年度12月定例会 農政産業観光委員会

◆農村災害対策整備事業について

猪  股 まず課別説明書の2ページにあります債務負担行為についてですけれども、今年は夏から秋にかけて全国各地で台風や記録的な豪雨による被害が発生したほか、本県においても10月の台風21、22号により農業施設等の被害を受けています。このような状況の中、農村地域の防災減災対策が重要であると考えています。

 課別説明書の2ページにある農村災害対策整備事業の債務負担行為を、今回4億4,500万円を限度額として計上していますが、この工事の内容について、どのようなものか、お伺いします。

 

耕地課長 今回の債務負担行為の対象工事は、上野原市東部の水田地帯に農業用水を供給する水路トンネルの老朽化対策工事であります。全施工延長につきましては445メートルとなりまして、そのうち水路トンネル工が400メートル、残りの45メートルを管路工により施工するものであります。水路トンネルの施工につきましては、シールド掘進機という特殊な機械により掘り進めまして、その後、鉄筋コンクリート管を設置する一連の施工であり、工事を分割することが難しいため、明年度にまたがる工期の設定が必要となります。

猪  股 明年度にまたがり工期設定をする規模の大きい工事という説明がありました。関連する工事も含め、工事の全体工程についていかがなものか、お伺いします。

 

耕地課長 現在、実施中であります工事によりまして、シールド掘進機の製作、地上から水路トンネル内に資材を搬入するための立坑、道路の迂回路の設置など、水路トンネル工事に伴う付帯設備工事を行っております。1月に完成する予定となっております。

今回、債務負担行為をお願いする工事につきましては、約10カ月の工期を必要といたします。今後、工事発注の準備を進めまして、年度内に契約を締結して、平成30年12月の工事完成に向けまして、水路トンネル工事の安全管理と進捗管理の徹底に努めてまいりたいと考えております。

 

猪  股 今回の水路トンネルの工事が実施され完成することによって、農村地域にどのような防災効果をもたらすのか、その辺はいかがでしょうか。

 

耕地課長 既存の水路トンネルは側壁などの老朽化が進んでおりまして、崩壊の危険性があるということから地域から早期の対策が求められておりました。今回の水路トンネル工事をすることによりまして、農業用水の安定供給はもちろんのことですけれども、水路トンネルに隣接した住宅や工場などの被災が未然に防止されるなど、災害から住民の生命、財産及び生活を守るということとともに、持続的な営農に寄与することができると考えております。

 

猪  股 わかりました。今後も農村地域の防災減災対策を着実に実施していくことによ

り、地域の方々が安心して農業生産活動に従事できるよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 

耕地課長 災害から住民の生命、財産を守るために、防災減災対策をしっかり行った中で、

地域の方に喜ばれるような、営農に寄与するような防災対策を進めていきたいと考えております。

 

◆県産農産物のブランド力の強化について

猪  股 県産農産物のブランド力の強化について伺います。本県の農産物を代表する果実、中でもブドウ、桃、スモモは全国一の農産地であり、果実王国として知られていますが、他県においても新たなブランド品種を売り出し、市場評価も高いと聞いています。果実を中心とする本県農産物のブランド力の強化を図ることは極めて重要であり、取り組みの強化が求められております。

 そこで、山梨県産の農産物のブランド力の強化の本県独自の制度はどのようなものなのか、その辺をお伺いします。

販売・輸出支援室長 県では、安全・安心な農産物の生産に取り組み、信頼される産地から出荷される高品質な銘柄や農産物を、富士の国やまなしの逸品農産物といたしまして認証する制度を平成24年度に創設いたしまして、現在、実施しているところであります。この制度は、信用・信頼、安全・安心に取り組む出荷団体を認証いたしまして、この認証出荷団体から、定められた品質基準を満たし出荷される高品質な農産物を認証する制度でございます。

 品質基準を満たし認証を受けた農産物には、この制度のキャッチフレーズであります「うんといい山梨さん」のロゴマークを、シールやリーフレットで表示・使用して出荷することができる制度であります。

 

また、現在のところ、対象となる認証を受けた農産物は、本県の主要な農産物であります桃やブドウの巨峰、シャインマスカットをはじめ、柿や甲州牛、クリスマスエリカなど、19品目が認証農産物として認められており、これらは山梨ブランドとして消費者の皆様にお届けしております。

 

猪  股 本県には高品質な農産物とブランドを発信する仕組みがあるということですが、流通関係者や消費者にそのよさが伝わって初めて取引につながり、山梨県産のブランドとして認識されると考えます。流通、小売、消費といった、より多くの対象に本県農産物の魅力を知ってもらうことが求められておりますが、魅力の発信はどのように行っているのか、その辺はいかがでしょうか。

 

販売・輸出支援室長 高品質な県産農産物が持つ魅力を上手に相手方に発信することは、ブランド力の強化にとって大変重要なことであると考えております。このため、大消費地の東京や大阪などの卸売市場等で実施しておりますトップセールスの機会などを通じまして、本県のトップブランドであります「うんといい山梨さん」の魅力を発信しているところでございます。

 本年度は、東京では、東京都中央卸売市場大田市場と果実専門店のサン・フルーツ銀座三越店で、また大阪では、大阪市中央卸市場本場と現地の大手スーパーのイズミヤスーパーセンターにおきまして、高品質な県産果実の魅力を発信してまいりました。卸売市場のトップセールスを通じては、市場関係者等に本県の取り組み姿勢を丁寧に示すことによりまして、これまでの関係が一層強固なものになり、有利販売や取扱量の拡大につながったものと考えております。

 また、果実専門店等の集客施設でのトップセールスを通じましては、消費者の認知度が一層高まったものと感じており、県産果実を選ぶ消費者の増加につながっているものと考えております。

 

猪  股 わかりました。魅力を伝えることにより、購入意欲を高めることが期待され、利用の拡大が期待されております。一方、消費者に店舗などで本県の農産物を選んでもらうことが重要となるとのことですが、その店舗で取り扱いがされていないと購入することができません。

そこで、購入する店舗の拡大がさらなる魅力の発信につながると考えておりますが、取り扱いを行う店舗の開拓はどのように進めているのか、その辺はいかがですか。

 

販売・輸出支援室長 高品質な県産農産物が消費者の目に触れる機会をふやすために、首都圏、あるいは関西圏の百貨店や果実専門店または飲食店のバイヤー等を本県に招聘いたしまして、「うんといい山梨さん」を生産する産地を直接視察していただく産地見学会を開催しているところでございます。

この産地見学会は、平成27年度から取り組みを始めまして、果実専門店等のバイヤーのほか、レストランのシェフなどにも参加を働きかけまして、青果物としての直接購入をしていただくほかに、食材として消費者に提供していただく取り組みを実施しているところであります。

 また、本年度は、果実とともに果実以外の甲州牛などの品目につきましても産地見学会を開催したところであり、認証農産物の魅力が広く理解され、今後の取り扱いへの関心が高まったと感じております。なお、産地見学会実施前と比べてですが、実施後の3年間で取扱店舗は22店舗増加しておりまして、今後も産地見学会の開催を通じまして、取扱店舗の拡大を進め、1人でも多くの消費者の方に山梨ファンになっていただき、「うんといい山梨さん」を購入していただけるよう、取り組みを行ってまいりたいと考えて

おります。