平成27年9月定例会土木森林環境委員会
◆森林の開発について
猪股委員 最近、太陽光発電の建設のために森林が開発されている事例が多く見受けられますが、こうした施設に限らず森林を伐採して開発を行う場合には、水源涵養や土砂流出防止など、森林の持つ機能が確保できなくなることに注意が必要だと思います。森林内で一定規模以上の開発を行う場合、森林法に基づく許可が必要と承知していますが、今、開発許可の件数、また、開発の目的などについてどんな状況かお伺いします。
森林整備課長 森林開発ということで、林地開発許可の状況でございますけれども、昨年度は新規の開発として12件の申請がありました。これがどういった推移かといいますと、平成23年度が4件、24年度が7件、25年度が9件、26年度が12件と、増加してきている状況であります。
この目的ということでありますが、この12件の内訳とすれば、工場・事業所の設置が2件、太陽光発電施設の設置が8件、それから残土処理場の建設が1件、廃棄物処理場の建設が1件となっております。本年度は、これまでに2件の申請があり許可しておりまして、2件の内訳は工場・事業所の設置が1件、太陽光発電施設の設置が1件という状況であります。また、これ以外に国ですとか地方公共団体が行う許可不要の案件、これも審査対象となっておりまして、これが26年度には5件ありまして、今年度はまだ出てきていないという状況にあります。
猪股委員 ただいまの答弁の中で、森林の伐採や開発に関して森林所有者や開発業者に対してどのような考え方に基づいて指導を行っているのか。今、数多くの工場とかいろいろもろもろの説明がありましたが、その辺はいかがでしょうか。
森林整備課長 森林開発は森林法に基づきまして許可を行っておりまして、この森林法の趣旨というのが開発行為を行う者、これは所有者も含まれますけれども、そこに憲法に個人の財産権というのがありまして、開発を行う者がそれに基づいて当然の責務として最低限に行わなければならない基準、これを設けているというのが法律の趣旨であります。その基準に適合する限りは過剰な規制を行わないということが森林法の解説にあります。こういったことで、伐採や開発に関しましては、森林の責務ということで言いますと、土砂災害の防止、水害の防止、環境の保全、水の確保、この4つの基準が法律で決まっておりまして、この基準に基づいて開発行為が基準をクリアするかどうか、これを審査します。これが国の考え方に示した基準に合っている場合にはこれを許可していくという形で進めております。
猪股委員 今月上旬の台風18号、その影響で大雨が降り、道路の冠水や土砂崩落等がありましたが、開発中の森林が伐採され、土がむき出しになっていると思います。このような状況で土砂流出の災害などはなかったのか、また、開発中に災害が起こった場合にはどのように対応していくのか、その辺はいかがでしょう。
森林整備課長 9月上旬の台風、夏以降の大雨、このときには特に林地開発の許可を受けているところで土砂流出等の被害があったという報告はありません。これにつきましては、許可の条件の中に幾つか条件を付すのですけれども、開発期間中に災害等が起こった場合には、遅滞なくそれを県に報告する、そして県の指示を受けるということが明記してありますので、何か開発期間中のものでそういったことがありましたら、県に報告が来るということになります。今回の台風以外ではそういった事例もありまして、県で現地を確認して、排水対策の増工ですとかを指示してきた経緯はございます。
猪股委員 基準に基づいて適切な開発が行われていることにより、森林の持つさまざまな機能が守られていかなければならないものと考えます。そこで、最近の申請状況等を踏まえて、今後、森林の開発許可にどのように対応していくのかお聞きします。
森林整備課長 先ほど御説明したとおり、非常に増えてきているということと、それから、特に太陽光発電施設の申請も多くなってきている状況もございます。こういったことが昨年度から急に顕著になってまいりましたので、この3月に開発事業者が申請書をつくるに当たって必要な事項をホームページで示しておりましたが、それを大幅に見直しまして、業者の方が、いろいろな法令がある状況ですとか、市町村等もかなり条例をつくってきておりますので、そういったものをクリアしなければ申請できないとか、それをわかりやすく理解できるような仕組みをつくりまして、それを新しい林地開発許可の手引きとしてこの4月からホームページにアップしております。それに加えて、庁内の関係課、いろいろな法令が森林の開発には森林法以外にもかかりますので、情報共有できるような体制もつくったり、それから、特にいろいろな案件、例えば複数の小規模な施設が一緒に近くにできるとか、そういったときの審査の基準ですとか、それも新たに県独自の基準もつくったりしまして、それもこの3月末につくりまして、それもわかりやすく説明するというふうに、事業者の方が制度とかやらなければならないことをわかりやすくするようなものをつくっております。今後も、これを的確に運用して森林の保全が図れるように進めてまいりたいと考えております。
◆貢川の河川改修につい
猪股委員 たしか7月だったと思いますけど、県内においての台風11号による被害状況がテレビで数多く放映されていましたが、そのときの道路ののり面崩壊や路肩決壊など、被害状況はどのぐらいあったのかお伺いします。
道路管理課長 7月16、17日の台風11号ですけれども、そのときは山梨県内でもちょうど雨が道志村から上野原にかけて非常に多く降ったときでございます。400ミリを超す雨量を観測いたしました。そんなことで、特に上野原市とか大月市において被災が多くなりまして、特に上野原市の桑久保地区というのがございますけれども、そこでは県道の大月上野原線というところがあるのですけれども、そこで約20メートルの道路が斜面崩壊をいたしました。そのほか、県下で6路線、7カ所という被災状況でございました。
写真はイメージ
猪股委員 被災した現場についてなんですけど、被害状況や住民への影響の把握など、現地確認が必要なことと思いますが、今回の被災で現地確認をしたのかどうかお聞きします。
道路管理課長 もとより我々の部は、何かあっても災害にかかわる現場で確認するということはふだんから肝に銘じていることでございます。当然ながら、台風のときなどは、災害リスクが非常に高いときですので、いつも警戒態勢に入っておりまして、そのときに一報入ったときはすぐに事務所から飛んでいって、現場を確認して、例えば人や車が巻き込まれていないかをまず確認いたします。それから、必要に応じて通行規制等の措置をするようにしていますので、現場確認は必ずしております。
猪股委員 道路は住民の日常生活に直結しているので、被災した場合には速やかに現地確認を行って、できる限り早期に復旧していただきたいということを期待しております。ただいまと同様に、台風による県内の河川の被害状況についてはいかがでしたでしょうか。お聞きします。
治水課長 河川の被害の状況でございますが、台風11号によりましては、上野原市、都留市等で県管理の4河川におきまして護岸が被災いたしました。これについては既に国の災害査定というものを受けまして、復旧工法も決まって、約1億2,000万円の被害額ということでございます。それから、次の台風18号においても、県が管理する河川で、13カ所ほど護岸や落差工などで被害が発生してございます。これにつきましては、道路の災害も併せて11月に災害査定を受ける予定になってございます。
猪股委員 わかりました。繰り返しになるかと思いますけど、過日の台風18号では鬼怒川の堤防決壊により多くの被害が発生しました。堤防決壊による被害がすさまじいものと再確認させていただいたことと、県内の河川堤防については危険性の高い場所を把握しているのか。また、今回の台風による堤防の被害の状況はどんなものだったのか。その辺をお伺いします。
治水課長 先ほど望月委員の御質問に対する答弁で申し上げましたが、重要水防区域というものがございます。これは堤防に限らず、川幅が少ないものなども重要水防区域としてあるのですが、そのうち堤防の高さが若干足りないものについては県内の堤防25カ所が重要水防区域ととなってございます。これらについては毎年の6月の出水期前の点検で監視しているところでございます。
猪股委員 私の気になるところですけど、私の地元では釜無川が広いんですよね。それで、近場で言うと荒川、相川ですね。この間の台風18号でしたっけ、11号かな、一番心配なのは、相川とか荒川とか、狭い川がありますよね。その辺がちょっと心配ですけど、県外の河川で川の中に樹木が繁茂している箇所で流れが阻害され、洪水発生の危険につながるというところが危惧されていますよね。河川内の樹木の伐採、それについて取り組みをどのようにしているのか、その辺について伺います。
治水課長 委員がおっしゃるように、確かに河川の中の木が生えて、広いところでは樹林化というような言い方もしてございますが、問題になっている中で、非常に予算も厳しいことから、優先度をつけて伐木をしております。優先度については同じ河川でも堤防の河川は堤防が切れると鬼怒川のようなことになるおそれがあるので、堤防で守られた河川を優先したり、河川の中に樹木が多くなって、本来、水が流れるべき断面積が非常に阻害されているというような状況な河川、これらは、より危険な状況と思っていますので、そのようなところから順次、対策を行っております。しかしながら、非常にお金がかかりますので、新しい試みとして、昨年度から、公募により一般の方に川の中に生えている木を切っていただくという河川内樹木の公募伐採という、取り組みを実施して、少しでもコスト縮減になるように取り組んでいます。
猪股委員 今、課長から答弁ありました公募伐採ですか、このことについては具体的に仕組み、取り組み、その辺について実施状況の内容を教えていただきたい。
治水課長 公募伐採というのは、役所が伐採するのではなくて、住民の方に切っていただく。県のホームページ、あるいは市町村の広報、こういったものを利用して希望者を公募いたします。公募者が多ければ抽選ということになるのですが、公募の条件がございまして、営利を目的としないもの、自家消費、これを条件としてございます。県では、川の中に木が多く生えているところを区画割いたしまして、その区画にエントリーしていただいて切っていただくというものです。昨年度は釜無川など大きい川がある峡北支所管内において公募伐採を試行しました。その実施状況ですが、釜無川とか須玉川で3カ所、32区画を募集いたしましたところ、70名の応募がございました。その結果、試算によりますと約1,200万円のコスト縮減が図られたという結果が出てございます。
それを受けまして、今年度は、6つの出先の事務所がございますので、そこにおいても公募伐採を実施していきたいと思ってございます。事務所によってはなかなか適地がないというのもございますけれども、何とかそういった形で、峡北、あるいは峡南で公募を開始したところでございます。それから、峡東と富士東部でも10月から公募を行う予定となってございます。そんな形でコスト縮減を図っていきたいと思っています。
猪股委員 今、課長の説明でわかりました。峡北地域ではまきストーブにでも使うという需要があることの対応だと思うんですけど、私の地域など他にはなかなかそういう設備がないですから、先ほど来、予算の関係も出ていますけど、危険性がありますから、ぜひとも下流側も考えて努力していただきたいと思います。
◆第二期チャレンジ山梨行動計画の実施状況について
猪股委員 近年、想定外の災害が多く発生している状況の中、第二期チャレンジ山梨行動計画の実施状況について伺います。県土整備部所管の項目で、災害に強い県土づくりの推進として、住宅の耐震化率が挙げられているが、本県の昨年度末の数値目標と進捗状況についてどのような今、状況なのかお伺いします。
建築住宅課長 お手元の配付資料の主要施策成果説明書、総合計画実施状況報告書、その97ページ、そこに耐震化率について具体的に記載されております。
ページを開かれる間、ちょっと簡単に御説明させていただきますが、ページは政策5、災害に強い県土づくりの推進のページになりまして、耐震化率につきましては、下から3枠目、住宅の耐震化率というのが記載ございます。実は、新しい政策、耐震改修促進計画につきまして、現在、策定中ではありますけれども、このデータはまだ作業中で出ていません。したがいまして、過去のデータをベースに策定したものでありまして、内容的に目標値が88.2に対しまして、昨年度末、82.7%で、5.5ポイントマイナスの状況で、進捗率は58.3%と下回っている状況でございます。
猪股委員 耐震化率が目標を下回っているということですけれども、その内容ですけど、住宅の耐震化はなぜ進まないのか、その辺の理由はどんなものでしょうか。
建築住宅課長 住宅の耐震化率を上げる大きな要因となりますのは、基本的には建て替えの戸数が大きく反映します。ところが、景気低迷のあおりを受けまして、新陳代謝の激しい、著しい大都市は除きます地方部におきましては、なかなか建て替えそのものが伸び悩んでいるのが実情で、やはり全国的に耐震化率が落ちているというのが今の実情でございます。また、本県におきまして古い住宅を持っている家主の方々の意見をお伺いしますと、高齢化が進んで、老夫婦が住んでいて、私たちが住んでいるところに跡継ぎがいない、跡取りがいない、家の面倒を見る者がいないわけだから、ここにお金をかけてまで耐震化する必要はないとか、あるいは、住みながら工事をする、とてもちょっと無理だよとか、あるいは仮にやりたいということがわかっても、どうやったらいいのかということが具体的にわからないというのが意見として出ております。
猪股委員 さまざまな理由で耐震化が進まないのは理解できます。耐震化を進めるには、実際に住んでいる方々の理解と、命を守るという意識であり、このためには市町村や地元の自治会の協力が必要であると思います。そこで、県として住宅の耐震化を進めるためにはどのように取り組んできたのか、また、今後どのように対応していくのかお考えをお聞かせください。
建築住宅課長 まず、今までの取り組み状況ですが、県としましては平成19年、耐震改修促進計画を策定。これは法定計画になります。また、市町村におきましては、任意計画でありますが、全27市町村が同じ計画を立てており、県、市町村一体となって施策を進めているのが現状です。具体的には耐震診断の無料化、あるいは耐震改修工事に対しての助成、また、耐震改修に至るまでの計画、いわゆる設計費への助成、また、これらの制度を周知するために県のホームページ、パンフレット、あるいはテレビ、ラジオ等の放映、また、うちの職員が出張講座という名目で会議等に呼ばれれば行って説明するというような作業も具体的にやっております。
また、委員のお話にもありました、地元の活動ということも含めまして、市町村がまず主となりまして、建築士会の会員、これはボランティアになりますけれども、御協力を得る中で、老朽化が著しい密集した住宅地区を選定して、そこに1戸1戸、各戸訪問をしております。基本的には市町村の職員、建築士の方、それに自治会の役員の方々にも賛同いただく中で各戸訪問をしていると。中にはその場において耐震診断申し込みがあるのも事実でございます。
今後につきましては、このようなきめ細かい戸別訪問、こういったものがやはり重要であると認識しておりまして、また、現在、先ほど申し上げましたが、耐震改修促進計画を見直しておりますので、その見直しの過程におきましては国の動向や市町村の意見等も伺いながら、本県に見合った目標値の設定、あるいは施策展開ができますよう整理の上、市町村と一体となって、さらなる住宅の耐震化の促進が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
◆甲府駅の周辺都市づくりの推進について
猪股委員 甲府駅の周辺については、新たな都市づくりに向けた整備が着々と進められており、県の玄関口としてふさわしい良好な市街化環境が整えられるということを大いに期待しているところであります。一方、既存の施設を改修するため、交通を供用した中で工事を進めなければならず、白紙の上で新しいものをつくるのとは違って、時間がかかることは理解しています。なるべく早く完成させていただきたいという立場から申しますと、工事が長期化していることを懸念しています。甲府駅南口駅前広場の整備について、現在の進捗状況と完成の予定について、何かちょっとおくれているような気がするのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
都市計画課長 甲府駅南口駅前広場の再整備につきましては、昨年の2月、大雪が降ったときでございますけれども、信玄公像西側にありました一般車駐車場、駐輪場、このリニューアル工事に着手しまして、新たに地下駐輪場を備えた一般車ロータリーを本年7月に供用開始したところでございます。今後は、信玄公像東側の駅前広場中央部に計画している公共交通ロータリー、この整備を進めまして、その後、引き続き、東側の広場の整備を進めていく予定でございます。全体の完成は平成28年度末を目指している状況でございます。
猪股委員 平成28年ですね。あと少しということで頑張っていただきたいと思います。
次に、甲府駅の西で甲府市が県と国から補助金を受けて土地区画整理事業をしていますね。それで、JR横沢ガード下を今、広げていますけど、この工事はその中の一つとして進められていると思うんです。そこが交通どめがいつ解消されるのか、その辺はいかがでしょうか。
都市計画課長 甲府市では区画整理事業の中で、鉄道敷地にかかる横沢ガード拡幅部の工事をJRに委託して進めているところでございます。現在、通行どめにして工事を進めておりますけれども、平成29年度末の通行どめ解除を目指して事業に取り組んでいるというふうに伺っております。
(「30年じゃなかったっけ」の声あり)
都市計画課長 平成29年度末、平成30年3月です。
猪股委員 この区画整理、一つは南口の整備、そして、これは甲府市と県で絡んでやっていると思うんですけど、横沢通りの今のJRのアンダー、これからこのアンダーが終わったら、後はどんなような状況で今後の予定として整備事業がされるのかどうなのか、その辺を教えていただきたい。
都市計画課長 甲府駅周辺の土地区画整理事業について、北口とかそういうところも全部入っていたのですけれども、こちらのほうはごらんのとおりもう仕上がっているわけですが、大きな残事業はこの横沢ガードと、それから朝日町のガードということになります。市では、横沢通りに引き続きまして、その東側に位置します県道の甲府韮崎線朝日町ガード拡幅工事を計画しております。その際は横沢ガードと同じように、朝日町ガードの通行どめが行われることとなります。現在、横沢ードが通れない分を朝日町のほうを迂回していただいているのと同じように、朝日町のガードが通れなくなる部分を横沢ガードを迂回していただくという形になってしまいますが、これらの工事を含めまして、この土地区画整理の完了時期はおおむね10年後と伺っています。
県としましても、この土地区画整理事業が早期に完成しますよう、事業を行う甲府市に対しまして引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。