平成27年12月定例会土木森林環境委員会会議録

◆道路施設の老朽化対策について

猪股委員 3年前の中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故では、9人の尊い命が奪われ、公共インフの老朽化の怖さをさまざまと見せつけられました。これを機にインフラ老朽化対策が大きく見直され、トンネルや橋など道路施設の点検が義務づけられたところでありますが、今年に入っても東名高速道路のトンネルで照明器具の落下事故があるなど、老朽化対策に対しては待ったなしの全力で取り組まなければならない課題であると思います。そこで、国は主要な道路施設について5年に1度の点検を義務づけましたが、現在の点検状況は県内においてはどうかお聞きいたします。よろしくお願いします。

写真はイメージ

道路管理課長  国では法改正がありまして、今委員おっしゃられるように、主要構造物については5年に1度ということになりました。山梨県では今、維持管理計画の中で、橋梁、トンネル、それから、シェッド、カルバート、それから、付属施設という格好になりますが、これらについては既に1巡した点検を完了しております。橋梁については既に2巡を終わっています。3巡目をもう来年あたりから始めております。ただ、5年に1回というところですけれども、5年にまとめてボンボンと出すのではなくて、一応我々としては、集中的にお金が用意しづらいものですから、5年間をならして毎年少しずつやって、5年という周期をとるようにしています。

 

猪股委員 今の説明の中で、報道等によりますと、市町村における進捗状況が非常に悪いと聞いております。その原因は何かお聞きしたいんですけれども、よろしくお願いします。

 

道路管理課長   今、委員から御指摘ございました市町村の進捗でございます。まず例えば橋梁を例にとりますと、県の管理橋梁は約1,800でございます。市町村管理はこれの約3倍で5,800橋を管理しているということでございます。当然数も多いということと、点検に対する体制の不足ということで進捗がおくれている状況はあると思います。その主な原因といたしましては、市町村によっていろいろあるんですが、予算不足であったり、技術職員の不足、あるいは専門知識を持った職員が不足しているということが掲げられているところでございます。とはいいましても、先ほど道路管理課長から県管理の橋梁についても説明がございましたとおり、点検が法律で義務化されたということでございますので、全ての市町村において、平成26年度より点検計画をつくりまして、5年間で必ず点検を全てやるという計画はつくってございます。昨年度もう既に年度の途中であったということで期間的な制約とか予算的な制約もございましたが、そのうち284橋の、全体の5%ぐらいですけれども、点検が完了してございます。今年度も1,154橋、これは全体の20%ほどになるんですが、点検を完了するということで、この後2年で一回りするという点検計画を立てて進めているというところでございます。

 

猪股委員  説明をいただきまして、いろいろ計画は立てているということはわかります。そこで、市町村に対する支援、その対応についてどのように県のほうでは考えているかお聞きします。

 

道路管理課長  県内の道路施設の点検とか、維持管理計画、補修等を効率的に行うために、平成26年度から山梨県道路メンテナンス会議を立ち上げました。これは国が主導で、県が入って、あと、高速道路株式会社等入って、先ほど申し上げた、維持管理、点検等をやる、情報交換をやっている組織でございます。この中に全ての市町村にも入っていただきまして、メンバーになっていただきまして、その中で各道路管理者の連絡調整とか、あるいは点検結果とか、点検方法等の情報の共有化とか、こういうことをさせていただいてございます。特に市町村にとって大きな課題でありますのは、高速道路をまたいでいる市道橋とか、そういう大きなものになりますと、管理者との連携も非常に大切になってくるということで、こんな形で支援させていただいております。また、さっき原因として予算ということも申し上げましたけれども、予算面におきましても、点検についての予算措置を国の交付金を活用してできるようにということで、そんな形で今、支援もさせていただいております。また、技術者不足ということにつきましては、これも最近、もう今年2回ほどやっているんですが、現地におきまして点検の実務講習会もこのメンテナンス会議の市町村支援メニューということでさせていただいているところでございます。

 

猪股委員  人材の面、非常に心配するところなんですけれども、今後の見通しはどのようなものかお願いします。

 

道路管理課長    見通しということになりますが、当然点検を進めていくと、新たに補修をしなければいけない橋梁等が顕在化してくるということでございますので、それらについて効率よく補修をしていかなければいけないということもございます。これにつきましても、各市町村が既に作成してございますが、橋梁長寿命化計画を作成してございます。先ほど申しました点検計画とこの長寿命化計画、これをあわせ持って、なるべく効率よく延命化するとか、危険を未然に予知した予防保全をしていくとかいうことをこのメンテナンス会議の中でも含めて指導していきたいということでございます。今後どうなるかということにつきましては、点検が進むにつれてまたさまざまな問題も出てくると思いますので、その中で検討させていただきたいと思います。

◆橋梁の溶接不良について

猪股委員  現在策定中の山梨県強靭化計画において、近い将来に発生が予想されている南海トラフ地震や首都圏の直下型地震に対して橋梁などの耐震化を進めるとされておりますが、先般、そうした耐震化のための落橋防止装置に意図的な溶接不良があったと報道がありました。そこで、まず県が管理する国道・県道で溶接不良の橋が27橋あると聞いておりますが、補修にはどの程度の費用がかかるのか、その辺はいかがでしょうか。

 

道路管理課長 説明に入らせてもらう前に、この件に関しまして、私どもで資料をお配りさせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

 

委員長  資料配付を許可します。

 

(資料配付)

 

委員長  配付漏れはありませんか。それでは、説明を続けてください。

道路管理課長 まず、この溶接不良の件につきましては、委員の皆様方にいろいろ御心配おかけしまして、本当に申しわけなく思っております。まず今回の落橋防止装置の溶接不良の件について、概要を説明させていただきます。

 今回の溶接不良は、写真の左上にございますが、橋梁の下をのぞくと、桁といって支えるいわゆるH鋼を逆さまにしたようなものがあるんですが、それにチェーン、あるいは、ワイヤの場合もあるんですが、ワイヤをつけて、地震のときに上の橋がぐらぐら動く際に、あまり動き過ぎて桁から落ちてしまわないようにとめるというものでございます。真ん中の図面を見ていただくと、支承という黄色の三角が2つついていると思うんですが、これは通常、沓と呼ばれているものですが、今、日本で経験している阪神淡路とか東日本クラスのものでも基本的には支承が壊れるようなことはございません。それ以上のものが今後出たときに支承が壊れてしまったときに、ふだん緩くしてあるものが突っ張って、橋を落ちないようにしてくれるというのがこの仕組みでございます。

 今回問題なのは、取り付けてある金物がございます。左の下のほうを参考に見てもらいたいと思うんですけれども、この金物ですが、重さがざっと200キロとか300キロとかある大きな重たいものでございます。これに橋梁の上部鋼工の力が思い切りかかるものですから、そういうところにつきましては、中段の下のほうにあるんですけれども、溶接の仕方が、通常は板と板の角をすっと溶接するんですが、こういう力のかかるところにつきましては、先を三角に欠いて中に溶接を入り込ませるという技術を用います。今回この開先の溶接工程で一部工程を省いたということでございます。まず上のほうが正しい手順ということでございます。片側を溶接いたしましたら、ちょうど真ん中のあたりのところに、溶接のかすができましてすき間があいたりしますので、これをちょっと大きく削り込みます。削って、反対側の溶接がしっかり入るようにするのが正しい手順です。それに対しまして、今回、片側をするところまでは全く同じですが、真ん中を削る行為を怠りました。これを意図的に怠ったわけです。そのために、反対側の溶接をかけたときに、真ん中にすき間があいてしまったということです。これを断面の写真で見ると、右のような格好で、ピットとかそういう格好ですき間が残ってしまいます。これが溶接欠陥でございます。今回、福井の久富産業という会社が意図的に真ん中の裏はつり処理を怠りまして、こうしたものが納品されて現場についてしまったということでございます。

 以上のような内容でございまして、先ほど猪股委員がおっしゃられた費用でございますが、今、全部で、山梨県でこれまで見つかっているものだけでこれが700個ぐらいだめになっています。700個といいますと、普通の直工ベースでおそらく2億円近く、新品でやり直す場合かかるだろうと想定しています。

 

猪股委員  今資料をもって説明いただきました。補修方法は、今新しいものにかえた場合の予算ですよね。この溶接不良が確認された部材を新しい部材に交換する以外に手はないのか、その辺はいかがでしょうか。

 

道路管理課長  同じく資料の右を見ていただきたいと思うんですけれども、これは国土交通省の有識者委員会のほうで提案していただいている1つのやり方でございます。全部新しく取りかえなくて、一番上のものは、ワイヤというかチェーンが少し弱くなっているというか、そういうことなので、その上に黒と茶色のいわゆる突起をつけて、こちらでも力をとらせたらどうかというのが一番上の案です。それから、真ん中は、単純に溶接をもう1回削り取って溶接し直したらという案でございます。一番下は、溶接はそのままにして、当て板をやって補強したらどうでしょうかという案でございます。今、新品を含めてこの4つの案が専門者委員会のほうから基本方針として提示されております。

 

猪股委員 いろいろな方法があるという御説明ですけれども、新品に取りかえるばかりでなくて、できるだけ予算がかからないようにできればなと思いますので、その辺は県のほうでも視野に入れて対応していただきたいとおります。

◆街路整備について

猪股委員 街路整備についてお聞きいたします。9月議会で都市計画道路、田富町敷島線について、特に渋滞が著しい20号線から国道52号線の間の早期整備について県の考えを伺いました。優先的に整備を進めていきたいとの回答がありました。地元甲斐市におけるこの道路の重要性に鑑み、整備について再度お聞きします。まず、質問当初のその後、竜王駅南口に大規模な商業施設がオープンしましたが、交通量や渋滞について従前と変化があったのか、その辺は御存じかどうかお聞きします。

 

都市計画課長  竜王駅南口にオープンした大型商業施設が及ぼす交通に対する影響でございます。現地で県が交通量調査等を実施してはおりませんけれども、所管する中北建設事務所や甲斐市のほうに状況を確認したところ、商業施設がオープンした後3日ぐらいは渋滞が見られたようですけれども、現在はオープンする前と、土日も含めて目立った交通量の増加とか、深刻な交通渋滞が起きてはいないというふうな情報はいただいております。

 

猪股委員 9月の質問のとき、国道20号線までの区間に関する事業展開で、現地の用地取得が15%と聞いております。その区間の事業費というのは幾らかかるのか、また今後の見通しについてはいかがなものでしょうか。

都市計画課長  国道20号から52号までの区間につきましては、全体事業費は約25億円を見込んでおりまして、今年度までに約5億円を執行しているというふうな状況になっております。厳しい財政状況ではございますけれども、今後も引き続き予算を確保するとともに、用地取得に努めてまいりたいと考えております。

 

猪股委員 20から25億円と聞いておりましたが、年度で使える予算が2億円から3億円という形だと10年もかかってしまうということですよね。その辺を考えると、この件について、ほかの箇所と比べても優先的に順序をもっと上げていただき、整備を急ぐべきだと考えます。要は、拡張工事と違う。道路を抜かなければ全然渋滞が緩和できない。だから、いろいろな拡張工事とかやっているところもありますけれども、優先順位について、繰り返しで悪いんですけれども、整備を急ぐべきと考えますが、その辺はいかがですか。

 

都市計画課長   先ほども総務課長が御説明させていただきましたけれども、今月中に策定する社会資本整備重点計画の中でも優先的に整備する箇所と位置づけております。田富町敷島線につきましては、市内の渋滞解消など高い整備効果が見込まれることから、優先的に整備を進めてまいりたいとは考えております。

◆建設発生土について

猪股委員 建設発生土、残土処理の問題で聞きたいんですけれども、今年の4月、私の地元である甲斐市の菖蒲沢地区において、建設会社が埋め立てた土砂が道路や河川の一部を侵食したため、市が昨年9月に公共物管理条例により改善を指導したとの報道がありました。また、10月には、発注工事において、残土を計画していた処分地とは別の場所に搬入したとして、建設業者が指名停止処分を受けたとの報道がありました。このような建設発生土の不適切な処理は、自然環境や生活環境に多大な悪影響を及ぼしかねません。そこで、建設発生土の処理について、幾つかの質問をさせていただきます。県の公共事業において建設発生土の処理をどのような方針で行っているのかまずお聞きいたします。

 

技術管理課長   県土整備部が発注する建設工事から出る建設発生土につきましては、建設副産物処理基準に基づいて工事現場から搬出することになっております。まず50キロメートル以内に受け入れ可能な工事現場があるのであれば、そこへ流用をしていただく。それから、工期の関係で、そうはいってもちょっと時期が合わないというときには、県のほうでストックヤードが準備してありますので、そこに仮置きした後、流用先の工事現場のほうへ搬出します。工事現場でその間で流用ができないという場合は、それにつきましては、県が設置した受け入れ地、あるいは事業者が設置する公共工事建設発生土処分地、または発注者と施工者との協議に基づいて選定した受け入れ地のほうに搬出するという方針で……。

 

(「簡潔に言って 」と呼ぶ声あり)

 

猪股委員 今の説明にもあったように、建設発生土はできるだけ工事期間中に流用するなどで有効利用することが望ましいと思います。現実的には、大量の残土が発生し、場外に運搬しているということが現実だと思います。そこで、県ではこのような残土を具体的にどのように処分をしているのか、その辺はいかがですか。

 

技術管理課長   まず処分地が受注時に決まっている場合は、特記仕様書によってそこに残土を処分します。それから、処分地が決まっていない場合は、これは8キロという運搬距離を仮定いたしまして、その範囲内で捨てていただくということです。それから、小規模なものにつきましては、4キロメートル以内で処分場を探していただいて、そこに搬出処理をするということになっております。

 

猪股委員 県発注工事で発生する残土処理方法についてはわかりましたが、公共工事の残土は市町村が発注する工事においても大量に発生しております。市町村でもこの処理に同様な問題を抱えていると思いますけれども、県では市町村工事に発生する残土に対して何か指導や支援を行っているのか、その辺はいかがでしょうか。

 

技術管理課長  先ほど説明しました、事業者が運営している公共工事建設発生土処分地は、従来、県の発注工事だけが利用対象でしたけれども、6月からは市町村もここに入れられるようにしております。それから、市町村独自で処分地をつくりたいというお尋ねもありますので、そのときには協議あるいは助言等の指導をしております。

◆建設発生土の適正化に向けた取り組みについて

猪股委員 建設発生土、残土処理の問題で聞きたいんですけれども、今年の4月、私の地元である甲斐市の菖蒲沢地区において、建設会社が埋め立てた土砂が道路や河川の一部を侵食したため、市が昨年9月に公共物管理条例により改善を指導したとの報道がありました。また、10月には、発注工事において、残土を計画していた処分地とは別の場所に搬入したとして、建設業者が指名停止処分を受けたとの報道がありました。このような建設発生土の不適切な処理は、自然環境や生活環境に多大な悪影響を及ぼしかねません。そこで、建設発生土の処理について、幾つかの質問をさせていただきます。県の公共事業において建設発生土の処理をどのような方針で行っているのかまずお聞きいたします。

技術管理課長  県土整備部が発注する建設工事から出る建設発生土につきましては、建設副産物処理基準に基づいて工事現場から搬出することになっております。まず50キロメートル以内に受け入れ可能な工事現場があるのであれば、そこへ流用をしていただく。それから、工期の関係で、そうはいってもちょっと時期が合わないというときには、県のほうでストックヤードが準備してありますので、そこに仮置きした後、流用先の工事現場のほうへ搬出します。工事現場でその間で流用ができないという場合は、それにつきましては、県が設置した受け入れ地、あるいは事業者が設置する公共工事建設発生土処分地、または発注者と施工者との協議に基づいて選定した受け入れ地のほうに搬出するという方針で……。

 

(「簡潔に言って 」と呼ぶ声あり)

 

猪股委員 今の説明にもあったように、建設発生土はできるだけ工事期間中に流用するなどで有効利用することが望ましいと思います。現実的には、大量の残土が発生し、場外に運搬しているということが現実だと思います。そこで、県ではこのような残土を具体的にどのように処分をしているのか、その辺はいかがですか。

 

技術管理課長  まず処分地が受注時に決まっている場合は、特記仕様書によってそこに残土を処分します。それから、処分地が決まっていない場合は、これは8キロという運搬距離を仮定いたしまして、その範囲内で捨てていただくということです。それから、小規模なものにつきましては、4キロメートル以内で処分場を探していただいて、そこに搬出処理をするということになっております。

 

猪股委員 県発注工事で発生する残土処理方法についてはわかりましたが、公共工事の残土は市町村が発注する工事においても大量に発生しております。市町村でもこの処理に同様な問題を抱えていると思いますけれども、県では市町村工事に発生する残土に対して何か指導や支援を行っているのか、その辺はいかがでしょうか。

 

技術管理課長  先ほど説明しました、事業者が運営している公共工事建設発生土処分地は、従来、県の発注工事だけが利用対象でしたけれども、6月からは市町村もここに入れられるようにしております。それから、市町村独自で処分地をつくりたいというお尋ねもありますので、そのときには協議あるいは助言等の指導をしております。